ヒト胎盤および絨毛組織内Monoamine Oxidase活性について
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概要
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種々臨床症状の異なる妊産婦より採取した胎盤および絨毛組織について,その組織内Monoamine Oxidase(以下MAOと略)活性を,Spectrophotometric assay法(Obata et al, 1971)を応用して測定した結果,以下の成績かえられた. 1) 対照とした初期正常妊娠群の絨毛組織内MAO活性値は13.11±9.28 (μM/g/hr, M.±SD.,以下同様)であつた. 2) 悪阻症状を呈した群のそれは9.06±4.92と対照に比し低値であつたが,推計学的に有意差を認めなかつた. 3) 不全流産や子宮内胎児(芽)死亡などの異常妊娠群では,6.90±4.35と更に低値であつたが,この場合も同様に有意差を認めなかつた. 4) 満期正常分娩群の胎盤内MAO活性は17.14±10.31であり,初期の場合に比較して増加傾向が認められた. 5) 妊娠中毒症症状を呈した群のそれは13.02±8.10と低い傾向を示したが,満期正常分娩群に対して有意差を認めなかつた. 6) 予定日超過例では,その胎盤内MAO活性値は18.53±10.10で対照群とほぼ同値を示した. 7) CPD,胎勢ないし回施異常の適応で帝王切開分娩を行なつた群では,その胎盤内MAO活性値は7.32±3.35と有意に低値を示した. 8) 児の生下時体重と全胎盤内MAO活性値に換算した値との間にはr=0.324(p<0.05)と有意の相関関係が認められた. 以上の実験結果から,絨毛あるいは胎盤内MAO活性は,既報の組織化学的変化(友田,1975a)とほぼ一致する成績であり,その基質たるMonoamines(以下MAと略)代謝を介して妊娠現象と何らかの関連性を有することが推測された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-03-01
著者
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