ヒト胎盤および絨毛組織内Monoamine Oxidaseの局在について
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概要
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ヒト胎盤および初期絨毛組織内Monoamine Oxidase(以下MAOと略す)の局在についての報告は少なく,また異常妊娠時のMAOの組織化学的変化についての報告もほとんどみられない.著者は組織化学的方法を用いて,ヒト胎盤および初期絨毛組織内MAOの局在について検索し,異常妊娠時のMAOの動態についても検討を加えた結果以下の成績がえられた. 1) 正常妊娠例では,妊娠初期からTrophoblasts(特にSyncytiotrophoblast)およびDeciduaに強いMAO活性が認められ,絨毛間質および絨毛間質内血管周囲にも弱いながらMAO活性が認められた.また,〓帯血管周囲にも極めて弱いMAO活性の存在が観察された. 2) 晩期妊娠中毒症合併例では,そのMAO活性陽性部位は正常例と同部位であつたが,活性の程度は減弱していた. 3) 進行流産例では,2)と同様にMAO活性の低下が認められた. 4) 胞状奇胎例では,Trophoblastsに弱いながらMAO活性が認められたが,絨毛間質内にはMAO活性を殆んど認めなかつた. 以上の観察結果から,ヒト胎盤および初期絨毛組織内MAOは主として,Trophoblasts(特にSyncytiotrophoblast)およびDeciduaに局在し,共に母児両者の血中Monoaminesの代謝に関与し,異常妊娠時にはその活性が低下し,母体および胎児血中Monoaminesの異常変化を来たし,悪循環をくり返しながら特有の臨床病態を呈するものと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-05-01
著者
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