子宮頚癌術後患者におけるoral-adjuvant chemotherapyに関する臨床および基礎的研究
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概要
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概要 子宮頚癌術後患者の治療成績を向上させる目的で、臨床進行期Ib期以上の症例を再発のriskに応じてprospectiveに群別管理し、再発の可能性の高い症例にはTegafurの経口投与によるadjuvant chemotherapyを行つた。そして、その臨床的有用性を再検討した。また,その基礎的裏付けを行うために、Tegafurの活性型である5-fluorouracil(5-FU)を用い、子宮頚部扁平上皮癌培養細胞株に対する薬剤感受性を調べた。その結果、以下の成績を得た。 1)adjuvant chemotherapy 施行群の累積再発率は28 4%(19/67例)で、非施行群の69 8%(44/63例)との間に有意差を認めた(plt0 01) 2)Coxの重回帰型生命表法を用い、adjuvant chemothrapy の有無による再発率を検討すると、施行群は非施行群に比較して、その瞬間再発率は約50%に抑制されていた。 3)Colony形成法から薬剤感受性を調べると、時間依存性作用制癌剤のdose response curveを示した。 4)核酸前駆物質の取り込みから薬剤感受性を調べると、その細胞への取り込みは5-FU濃度が01〜05μg/mlでは24〜72時間で、10〜10 0μg/mlでは4〜8時間で最高に達し、低濃度でも長時間作用によりDNA合成障害がみられた。 5)形態学的障害から薬剤感受性を調べると、5-FU濃度が0 1μg/mlでも長時間作用により形態学的障害が認められた。 6)Cell kineticsから薬剤感受性を調べると、5-FU濃度が0 1μg/mlでは24時間でS期の集積が始まり、72時間でmaximumに達し、cell cycleの延長がみられた。 10.0μg/mIでは48時間でcell cycleprogressionの抑制がみられた。 以上から、子宮頚癌術後患者に対するTegafurによるadjuvant chemotherapy は,再発を約50%に抑制することが判つた。また、基礎的検討から,5-FUの低濃度長時間投与により、細胞レベルにおいても癌細胞の増殖が抑制されることが明らかとなつた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-09-01
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