Insulin-like Growth Factor-I (IGF-I) 及びIGF-IIのヒト脱落膜・羊水系prolactin分泌に及ぼす影響

概要

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ヒト脱落膜からのprolactin (PRL) 分泌に及ぼすinsulin-like growth factor (IGF) の影響をin vivo並びにin vitroの両面より検討した。妊娠初期の脱落膜を酵素処理によりdisperseした後large cells (PRL enriched cells) を分離・採取した。IGF-I及びIGF-IIを含んだ培養液とともに96時間培養し, PRL分泌量をcontrolと比較した。また, IGF-I刺激後の脱落膜細胞内のCa^<2+>濃度を, Fura-2 fluorescence法により測定した。一方, 妊娠中期及び分晩時の羊水中PRL並びにIGF-I濃度をRIAにて測定し, その相関性を検討した。IGF-Iは脱落膜からのPRL分泌を有意に (p <0.01) 促進したが, IGF-I刺激後細胞内Ca^<2+>濃度に変化はなかった。これに対し, IGF-IIは脱落膜からのPRL分泌に有意な影響を及ぼさなかった。妊娠中期の羊水中IGF-I値は後期のそれより有意に (p<0.01) 高く, 羊水中のIGF-I値とPRL値の間で有意な相関 (r=0.93, p<0.001) がみられた。脱落膜性PRL分泌にIGF-Iは深く関与するがIGF-IIは影響を与えず, この作用機序にCa^<2+>を中心とした細胞内情報伝達系は介さない可能性が示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-11-01