出生前診断における胎児染色体異常の頻度

概要

論文の詳細を見る
当科において胎児染色体分析を施行した1,047名について, それらの検査理由別に集計し, 以下に示したような成績を得た。1) 高齢妊婦 (35歳以上) - 胎児染色体異常出現率は3.2%で, 加齢によりその頻度は増加した。異常の種類としては21 trisomy, 18 trisomy, 47, XXYの数的異常と9番染色体逆位, 転座の構造異常などが含まれていた。構造異常はde novoのものでない可能性もあり, それを除いた異常出現率は1.5%であった。2) 染色体異常児の分娩既往をもつ妊婦 - 異常出現率は3.4%であったが, 両親に異常保因者のみられたものあるいはその可能性の高い逆位を除けば0.5%にとどまった。特に転座型Down症候群を除いたDown症候群, 18 trisomy, 13 trisomy児の分娩既往妊婦がそれらを反復した例はなかった。3) 胎児染色体異常を疑う所見の指摘を受けた妊婦 - 異常出現率は16.9%と高率で, 染色体異常と関係する超音波断層所見としては, 羊水量の異常, 子宮内胎児発育遅延, 各種奇形, 胎児水腫, 消化管閉塞, 〓帯ヘルニア, 単一〓帯動脈, 小脳低形成などがあげられた。しかもこれらの所見は複数みられる例が多かった。4) 夫婦に染色体異常保因者が存在する妊婦 - 異常出現率は40.0%と極めて高率で, 特に転座, 逆位の親から児への伝播がみられた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-10-01

出生前診断における胎児染色体異常の頻度

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク