幼児における連続量の配分行動 : 分離量を用いた実験結果との比較
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概要
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本研究は幼児期における配分行動として, 「砂」という連続量をいくつかのプラスチックのコップに配分する課題から検討した。さらに先行研究で行われた分離量の実験手続きを用いて比較することにより幼児期の配分行動を明らかにした。連続量の課題には3歳から6歳までの幼児144名が実験に参加した。その結果, 3歳から5歳では正答率に変化はみられないが, 6歳では正答率が上昇することが示された。またそれぞれのコップの中の砂の量が異なるという誤答が, この時期に減少することが示された。配分方略ではコップに数回にわたって砂を配分する数巡方略が多くみられた。先行研究でのチップを使った分離量課題と比較した結果, 分離量課題の正答率は各年齢間に差がみられたのに対して, 連続量課題では5歳から6歳にかけて差がみられた。誤答で特に傾向が違ったところは, 分離量では1あたり量の誤答の割合が年齢の上昇とともに減少していくが, 連続量では1あたり量の誤答が5歳まで多く, 5歳から6歳にかけて減少することが示された。分離量では1枚あたりのチップの数が明確にされているが, 連続量である砂は数ほど明確に参加者が比較することが困難な可能性が示唆された。
- 日本教育心理学会の論文
- 2004-09-30
著者
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