絶滅危惧種ハリママムシグサ(Arisaema minus (Serizawa) J. Murata)の保全対策としての移植事業I : 生育環境と移植条件
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概要
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兵庫県神戸市に計画された高速道路の予定地で,着工直前になって絶滅危惧種のハリママムシグサが発見された.路線の変更による影響の「回避」は困難で,道路建設の影響圈に自生するすべての個体の移植によって個体数の維特をはかる保全対策をとった.移植に先だって自生地で分布,個体形状,性表現,光環境,土壌条件,植生を,移植先の候補地で光環境,土壌条件と植生を調査した.調査の結果,ハリママムシグサは林冠がうっ閉するまでの早春の光環壌にめぐまれる谷沿いの落葉広葉樹林の林床で,乾きにくい砂質土壌の場所に自生することがわかった.種子繁殖にかかわる性表現は個体サイズに依存しており,雌個体はもっとも明るい場所に自生することから,雌への成長には一定の年限,光環境にめぐまれる必要があると考えられた.調査結果をもとに移植先の候補地から適地をえらび,個体形状を測定して可能なかぎり適期に移植した.
- 2004-12-25
著者
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