生物型情報技術とバリアフリーなサイバー社会(<特集>「デジタル社会とバリアフリー」)

概要

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デジタル化技術に支えられる情報化社会は、人々が知力や経験を生かせる知的空間であり、身体や体力の違いを意識しなくともよいという意味では、身体的なバリアフリーの世界とも言える。しかし一方で、そのような急速な進歩に適応できない多くの人達を生み出しつつあるのも現実である。それを、身体に対比させて、心的なバリア(障壁)とここでは呼ぶことにする。本稿では、デジタル社会における心的なバリアフリーを志向した生物に学んだ情報技術の研究の一端を紹介する。生き物のように成長・発達・進化するコンピュータを利用して、人の本能的な習性に訴え、自発的な情報発信に駆り立てることの可能性を探る研究である。具体的には、コンピュータが創りだす自律性・創造性と人との即興的なインタラクションをコンセプトとする感性技術、利用者とのインタラクションを通して成長・発達・進化するコミュニケーションロボットの研究を取り上げ、心的なバリアフリーへ向けた仕掛けとすることを考えてみたい。さらには、人とコンピュータとの豊かで多様なコミュニケーションの創造を目指した人工情動の研究にも触れる。そこで見えてきたものは、"障壁"としてのバリアのないデジタル社会を可能とする、情報技術における"境界"としてのバリアの重要性である。
日本社会情報学会の論文
1999-09-30

生物型情報技術とバリアフリーなサイバー社会(<特集>「デジタル社会とバリアフリー」)

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