燧灘東部海域の堆積有機物濃度について
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概要
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Chemical analysis of marine sediments were carried out using the samples collected at 20 stations of the eastern area of Hiuchi Nada, Seto Inland Sea, in August, 1980 and February, 1981. The elimination of inorganic carbonate carbon derived from shellfish and others was required before analyses of organic carbon, and this was successfully achieved by the digestion of the freeze-dried sediments with 0.5 N HCl. This area have been polluted in these two decades with the wastes of pulp and paper making factories which locate along the south coast. The eutrophication was also promoted by other industrial and domestic wastes. The bottom sediments were influenced by these organic pollution. The polluted offshore area found in 1970 where COD in the sediments exceeded 30 mg/g disappeared in 1980 and 1981 but the area of 20 to 25 mg/g became wider than in 1970. COD and organic carbon were found in high contents in southern part of the area but phaeo-pigments, carbohydrate and phosphorus were detected in high in central and northern parts. In addition to such distribution of the organic compounds from south to north, it was also found that the contents of organic compounds became high in relation to the water depth of the sampling stations. The fact suggests that suspended matter such as pulp debris and other detritus will precipitate and deposit in deep bottom of the area. The organic substances accumulated in deep bottom seem to generate the oxygen depletion in early summer.浅海域の海底堆積物中の有機炭素および窒素の定量の際に問題となる無機炭酸塩を除く方法について検討し, 塩酸処理が優れていることを明らかにした. 1980年8月と1981年2月に燧灘東部海域で採集した堆積物について主として有機成分を分析した. 堆積物の有機炭素, 窒素の分析精度は高く, CODとの間にはそれぞれ高い相関関係が認められた. 1970年代の初期に比べてCODの最高値は低下したものの, 有機汚染泥は希釈, 拡散されていることが明らかとなった. 南東海域は有機炭素濃度が高く, C/N比が高いこと, およびフェオフィチン濃度が低いことより紙・パルプ工場排水の直接的な影響を受けていると考えられた. 北部海域は有機炭素, フェオフィチン, りんが多く含まれていることから, 植物プランクトンをはじめ種々の粒状物質の集積域となっていることが示唆された.
- 香川大学の論文
- 1983-03-19
著者
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