本邦および台湾における野生サトイモ(Colocasia esculenta SCHOTT)の分布および形態的特性
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概要
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わが国の南西地域および台湾で,野生状態で生育するサトイモ29系統を採集した.そして,それらをわが国の最も古い栽培品種である`えぐいも([エグ]芋)'とともに栽培して,栄養体および花序の形態を調査した.採集系統はいずれも小川,水田の中またはその周囲および路傍など人間の活動の影響の大きな所に生育していたものである.これらのうち,わが国の本州,九州および八丈島の系統は3倍体(2n=42),その他の系統は2倍体(2n=28)であった.各系統内には形態的変異はほとんどなく,系統間には草丈,葉形指数および葉柄色に大きな変異が認められた.また,側枝の形態については,3倍体が倒卵形体またはこん棒状の芋であったのに対し,2倍体はランナー状で先端に幼植物ができた.栽培条件下で全系統が開花した.花序の各部位の長さは系統間で大きく異なった.栄養体および花序の形態をもとに各系統をわが国の5群,および台湾の3群にそれぞれ分類できた.ただし,台湾の1系統はわが国の1群に入った.これらのうち,わが国の2群は熊沢ら(1956)が分類した2品種群に一致したが,台湾の群を含む他の群は熊沢らの品種群のいずれとも全く異なった.
- 日本育種学会の論文
- 1990-06-01
著者
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