水田におけるクワイ品種のひぶくれ病の発生と罹病植物における胞子球の形成
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概要
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クワイひぶくれ病はクワイの葉および球茎に円形から楕円形の病斑を散生する病害で, クワイ栽培地において普通にみられる。クワイの3品種('青くわい', '白くわい'および'吹田くわい'), クワイと同種の野生植物であるオモダカおよびクワイと同属異種のアギナシを大阪府門真市の本病常発水田で栽培し, 葉でのひぶくれ病斑の発生時期および発生状況を調査した。また, 病斑組織の内部を走査電子顕微鏡で観察し, 病徴と胞子球の形成状況の関係について調べた。クワイの3品種およびオモダカにはひぶくれ病の病斑が形成されたが, アギナシには病斑は形成されなかった。本病の発生時期は7月初旬から8月中旬にかけてであり, 病斑形成時期の平均気温は27〜30℃であった。クワイの品種間ではひぶくれ病の発生程度に差はなく, 3品種はともに罹病性であった。オモダカでは被害程度は低かった。晩秋に収穫したクワイ, オモダカおよびアギナシの球茎にはいずれも病斑は形成されていなかった。走査電子顕微鏡によって胞子球の形成の状態を観察したところ, クワイの葉身の初期の病斑では多数の小胞を取り囲む構造が観察された。葉身の典型的な病斑では内部に多数の胞子球が観察された。胞子球の表面は菌糸状の組織によって覆われていた。胞子球の内部を観察したところ, 周辺部には柵状の細胞層があり, 内部には多数の球状の細胞がみられた。オモダカの葉身の初期の病斑内部には多数の小胞とともに未分化の胞子球が観察された。そのような胞子球では周辺を菌糸状の組織が取り囲み, 胞子球の内部には球状の細胞がみられた。
- 1997-08-25
著者
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