低照度環境におけるトルコギキョウのアントシアニン合成の調節

概要

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低照度条件が鉢植えトルコギキョウの花弁着色に及ぼす影響について調査した.植物体全体を遮光すると(1, 000lx), 遮光環境下で開花した花の花色が薄くなった.開花時に花のみを遮光した場合には花色に影響は見られなかったが, 茎葉部のみを遮光すると, 植物体全体の遮光時と同じく花色が薄くなった.花を花柄部で切り離しスクロース溶液に浸漬させた状態で開花させると, スクロース濃度の上昇とともに花弁の色は濃くなった.さらに, 花弁の糖濃度とアントシアニン濃度との間には, 光条件に関係なく正の相関がみられた.これらの花では, スクロース濃度の上昇にともなってカルコン合成酵素, カルコン異性化酵素, ジヒドロフラボノール4-還元酵素の遺伝子の発現量が促進された.以上の結果より, 低照度環境下でトルコギキョウ花弁の着色が低下するのは, 茎葉部における光合成の低下にともなう花弁中の可溶性糖含量の低下によって, アントシアニン合成経路上の酵素の発現が抑制されるためであることが示唆された.
園芸学会の論文
1999-05-15