ウンシュウミカン果実の果皮の粗さに関する組織学的研究

概要

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ウンシュウミカン果実について, 果皮の粗くなる強摘果樹の果実と滑らかな無摘果樹の果実を用い, 果皮の粗さが生じる原因を組織学的に比較検討した.果皮の粗さは主に油胞の発達と関連していると推察され, 果皮の粗い果実では, 成熟期になっても様々な大きさの油胞が存在するのに対して, 滑らかな果実では比較的均一であった.果実発育後期の油胞の発達が収穫期の粗さの違いを生じる主要因であり, 特に, 成熟果で頻繁に観察される油胞の真上が突き出た形の粗さは, 次生油胞の発達によるものと思われた.なお, 幼果では果皮表面にしばしば縞状の突出部が認められたが, それらは油胞の発達とは無関係であると考えられた.凹凸を形成している組織は, 外側からクチクラ層, 1層の表皮組織, 2∿3層の下皮組織, その下の柔組織からなっており, 弱着果負担区の粗い果皮の下皮細胞および柔組織細胞は強着果負担区の滑らかな果皮のものより小さく, また細胞の配列も不規則であった.滑らかな果皮組織では下皮細胞の細胞分裂は8月上旬に終了するのに対して, 粗い果皮組織では9月上旬まで続いた.以上の結果から, 果皮の粗さには果皮組織の発達, 特に油胞の発達と下皮組織細胞の分裂程度およびその配列が大きく関与していると推察された.
1999-01-15

ウンシュウミカン果実の果皮の粗さに関する組織学的研究

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