ウンシュウミカン果実の着果角度が果皮表面形態, 着色および果汁成分含量に及ぼす影響
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概要
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ウンシュウミカン果実の着果角度と果皮の粗さとの関係を明確にするため, 上向き果と横向き果の果皮の凹凸を経時的に調査するとともに, 果汁の糖および有機酸濃度, 果皮色素含量との関係を検討した.得られた結果は, 着果負担に関する結果(久保ら, 1996)と比較し, 考察した.本実験結果は, 以下のように要約される.1. 上向き果の果皮は, 強摘果区の果皮と同様に著しく粗くなったが, 両者の"roughness value"の変化曲線は明らかに異なっていた.強摘果区果実は, 7月下旬から10月下旬にかけて徐々に滑らかになり, その後収穫期にかけて急激に滑らかとなったのに対し, 上向き果では8月上旬から9月下旬にかけて急激に滑らかになり, その後ほぼ一定値を保った.2. 果皮の粗さと油胞の位置との関係を調査した結果, 油胞の真上の部分が凹になったものと凸になったものが多数認められ, 幼果では凹のものが多く, 果実発育後期には凸のものが多かった.この傾向は上向き果, 横向き果および強摘果区果実共に同様で, 形態的な違いは観察されなかった.3. 9月中旬以降の果皮の粗さと果汁の糖濃度との間には, 負の相関があった.4. 果汁の有機酸濃度と8月上旬から9月中旬までの果皮の粗さとの間には, r=0.90の相関が認められた.5. 果皮の粗さ, 果汁成分および果皮色素含量の関係を検討した結果, 果実の発育を3つのステージに分けることができた.果皮表面の凹凸が消失する第III期の開始期は, 有機酸の急激な減少がほぼ完了してクロロフィルが分解され始め, 糖の蓄積が盛んとなってカロチノイドの合成が開始される時期と一致しており, ウンシュウミカン果実の成熟が始まる重要な質的転換期と考えられた.
- 1998-01-15
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