花柱培養法によるニホンナシの自家および交配不和合反応の品種間差の解析

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ニホンナシの自家受粉, 交配不和合受粉および和合受粉後の花粉管伸長について, 花柱培養法によって品種間差を調査した.自家受粉した場合の花柱内における花粉管伸長は, 品種によって著しく異なり, 花柱切り口より花粉管の出現した花柱の割合は花柱長1/1で0∿47%を示した.花粉管伸長の良い品種として, '新雪', 自家和合性の'おさ二十世紀'および'おさ二十世紀'から得られた自家和合性の系統があった.また, 中間的品種として'晩三吉', '八里', '菊水', '二十世紀', '喜水'があり, 極めて花粉管伸長の悪い品種には'新水', '長十郎', '君塚早生', '豊水', '幸水', '幸蔵'などがあった.概して, '二十世紀'由来の品種は花粉管伸長が良く, '幸水'や'新水'由来の品種では悪かったことから, この性質は遺伝的形質と考えられた.交配不和合受粉と和合受粉においても, 花粉管伸長は用いた組合せによって大きく異なった.花柱長1/1の場合の切り口より花粉管が出現した花柱の割合は, 不和合組合せで0∿40%, 和合組合せで26∿97%であった.花柱長を1/2, 1/3に短縮した花柱を用いた場合, ほとんどの受粉区で不和合花粉管伸長は良好となった.花柱短縮による花粉管伸長は, 品種や組合せによって以下のように大別された.1)花柱を短縮するほど花粉管出現率が高まる品種, 2)花柱を短縮すると花粉管は伸長するが, 花柱長1/2と1/3で差がない品種, 3)花柱長1/3で出現率が急増する品種, および4)花柱を短縮しても花粉管伸長に差がない品種.これらの差は, 品種によって不和合花粉管の抑制部位が異なっているためと推察された.
園芸学会の論文
1999-03-15

花柱培養法によるニホンナシの自家および交配不和合反応の品種間差の解析

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