液体振とう培養におけるササユリ小球根の養分吸収と肥大に及ぼす照明の影響

概要

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ササユリ小球根の液体振とう培養において, 照明が培地からの養分吸収と球根肥大に及ぼす影響を検討した.生体重0.3∿0.4gの小球根を, 糖の種類と濃度を変えた3種類の培地を用いて165日間明条件および暗黒条件で液体振とう培養した結果, 照明によって著しく球根肥大が促進された.球根の肥大が最も良好であったのはブドウ糖3%添加培地を用いた照明区で, 培養終了時の生体重は約5.3gであった.糖, NH_4^+, NO_3^-, H_2PO_4^-およびK^+の積算吸収量は暗黒条件に比べて明条件が有意に多く, Mg^<2+>も多い傾向が認められた.これに対し, Ca^<2+>の積算吸収量と照明の有無には一定の傾向は認められなかった.また, 明条件での球根の重量増加割合は糖の吸収量増加割合とほぼ等しかった.このことから, 照明の球根肥大に対する促進効果は光合成のためではなく, 培地からの糖の吸収促進のためであると推定された.以上の結果から, 3%ブドウ糖添加培地を用いて照明条件下で液体振とう培養することにより, 5∿6か月間の短期間で0.3∿0.4gの小球根が約5g(球周約9cm)まで肥大することが明らかとなった.
園芸学会の論文
1998-01-15