Vicia macrocarpa における二つの核型の染色体構成
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概要
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Vicia macrocarpa(2n=12)は,V.sativa(コモンベッチ)の近縁種であり,牧草として地中海地方に栽培される.V.sativaとその近縁種には種内,種間における核型多型が広く認められている.しかしながら,Vicia macrocarpaにおいてはYAMAMOT0(1984)の最近の報告まで核型多型について報告されていなかった.本研究は,本種において検出された両核型(12Cと12E)の細胞遺伝学的な関係を明らかにするため,形質調査を加えて,核型分析ならびにその雑種における成熟分裂の観察を行い,両核型の分化について考察した. 両核型の間には動原体の位置・染色体腕の長さ及び仁染色体の数と特徴について変異が観察され,同時に,形態形質及び生理的形質の差異も認められた.更に,フォイルゲン染色による有糸分裂前期における異質染色質バンドパターンと分裂中期のギムザC-バンドパターンを観察したが,両核型問に異質染色質領域の差異が確実に認められた(Fig.1).また,祖先型と思われる12E型ではC-バンドの数が12C型より多かった.しかし,C-バンドの分布は,12Eの第3染色体を除いて,両核型共に主に長腕の介在部に現れた.上述の染色体の形態的及び異質染色質領域の変異に基づいて・両核型の染色体は三つのカテゴリーに分けられる.すたわち,染色体の形態と異質染色質領域が異たるAカテゴリー.両方とも差異が認められないBカテゴリー及び前者は似ているが1後老では違ったCカテゴリーである(Fig.3).それらのことから,本種の分化過程においては核型の変異だけではたく,異質染色質領域の減少も起こったと推定された.
- 日本育種学会の論文
- 1988-03-01
著者
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