アイソザイムパターンによる Vicia 属種間雑種後代の遺伝的固定度の推定 : I. Vicia pilosaとV.macrocarpa との雑種のアミラーゼアイソザイム
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概要
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種間雑種後代における両親遺伝子の組換えと固定の状況を明らかにすることは,種属間交雑育種遂行上重要な問題であろう。筆者らはすでにVicia sativaとその近縁種間の雑種を用い,細胞遺伝学的研究から,主に染色体レベルでこの問題を考察して来た。しかるに遺伝子レベルでの研究は少ない。かかる観点から遺伝子の直接支配下にあると考えられるアイソザイムパターンを個体間で比較し,各アイソザイムバンドの遺伝的行動を追跡することによって遺伝子の組換えと固定度の推定を行った。すなわち,V.pilosaを母親,V.macrocarpaを父親とした雑種F_1,F_2,F_3およびF_4について,アミラーゼ・アイソザイムをポリアクリルアミドディスク電気泳動法で検出した。 母親からはα_2およびβ_1の2本,母親からはα_1,α_3およびβ_2の本のバンドがそれぞれ検出され,F_1では両親のもつ計5本が認められた。F_2では両親バンドを組合せた型が分離し,F_3では両親のもつ5本のバンドのほかにu_1およびu_2の未知のバンドを組合せたIからVまでの5種類のパンド型が出現した。 F_4ではF_3に出現したIならびにII型を含め11種類のバンド型が出現し,F_3よりも多かった。これらのバンド型のうち,VII型は父親と,XI型はF_1と,XIV型は母親とそれぞれ同一である。しかしF_4での出現個体数はVII型が最も多く,また核型MM(父親と同一型)系統では1系統で母親のバンドをもつIXおよびX型が観察されたほかは,I,IIおよびVII型であった。F_3でMM型以外の核型をもった個体から出たF_4系統ではいろいろのバンド型が出現した。 この結果から,アイソザイムからみた遺伝的固定度はF_3よりもF_4でより進んだものと推察される。
- 日本育種学会の論文
- 1975-02-28
著者
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