Vicia amphicarpaとV. sativaとの種間雑種について
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概要
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In order to estimate the recombination of parental chromosomes in the interspecific hybrid progenies between Vicia amphicarpa (2n=14, female) and V. sativa var. alba (2n=12, male), cytogenetical studies were carried out. In F1, all characteristic chromosomes of the parents were identified. Many loose chromosome conjugations and univalent, multivalent chromosomes were observed. The fertility was extremely low. In F3 and F4, a total of nine karyotypic plants were derived. Of these, a large number of the plants were SS karyotypic plants and white flower in F4 generation. From the data, it is concluded that since both parental species were the most distant relatives among the V. sativa and its related species, it is difficult to recombine the parental chromosomes in this hybrid progenies.種間雑種後代における両親染色体の組換えとその機構を明らかにすることは育種上重要である。筆者はベッチ類の多数の種間雑種を用いて細胞遺伝学的研究を行ない、この点を明らかにして来た。本報では近縁種のうちで最も類縁性の低いV.amphicarpa(2n=14,赤花)とV.sativa(2n=12,白花)との雑種について考察を行なった。 F1は2n=13で識別可能な両親染色体はs1, s4, s6; ta1, ta3, ta6 および ta7 で、形態は両親の中間、成育は旺盛であった。減数分裂では5II+3Iの接合型が最も多かったが、1価および多価接合型も多く、接合は緩かった。遅滞ならびに遊離染色体などから推察して、異常な接合を示す染色体は識別可能な染色体と思われた。F1の稔性はきわめて低く、僅かのF2が得られただけであった。 F2では全個体とも核型はF1型であった。 F3およびF4では父親型(SS)およびF1型が多く現われ、ほかに少数の両親型(SSおよびTaTa)ならびにF1の各型に識別可能なs4, ta3 および ta7 染色体と普通のsubterminal染色体""st""が増減した合計9種類の核型が観察された。しかしF4世代ではF3に較べSS型がきわめて多く現われ、その他の核型は少なかった。 花色については赤花は完全優性、白花は劣性を示した。また白花個体が多く現われ、僅かにF2で2個体、F4で1個体の赤花しか出現しなかった。 以上の結果から本雑種の後代では雑種崩壊が著るしく、両親染色体の組換えは、他の近縁種間の雑種よりも困難なことが明らかになった。従って両親種の間の類縁性は最も低いことを示した。
- 香川大学の論文
- 1977-03-30
著者
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