エピスタシスとリンケージが共に存在する場合の2純系由来集団の平均値
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概要
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2純系由来の任意の集団について集団平均における相加効果,優性効果,一次またはそれ以上の各種エピスタシスを一般的な形で記述できることを,実験計画法における要因配置法を適用したモデルに基いて既に示した。本報では,エピスタシスに加えてさらにリンケージが存在する場合の集団平均の記述方法を示した。(1)集団平均は,リンケージがない場合の期待値と,リンケージによるその期待値からの偏差1(リンケージ偏差)とに分解できる。リンケージ偏差は一般的な形として(13a,b,c)式のとおり2遺伝子座の遺伝子型頻度の関数として表わすことができる。(2)2純系由来の任意の2集団II_1、とII_2の交配から生じる新集団II_3の平均は(21a,b,c)式のとおり,両親集団の配偶子頻度のリンケージ偏差(γ_I,γ_I_I)と遺伝子型頻度から定まるA値(A_I,A_I_I)の簡単た関数である。(3)2純系由来の任意の集団II_1を1回自殖したときの集団II_4の平均のリンケージ偏差は(28a,b,c)式のとおり。(4)交配および自殖後代の平均の記述方法が得られたので,それにもとずき,3種の代表的た集団群, P_I をF_1にm回戻交雑した集団P_I^mF_1(またはP_I_I^mF_1),自殖m世代Fm,および親P_I,P_I_IまたはF_1を自殖世代F_mに交配した後代P_IF_m, P_I_IF_m, F_1F_m(m=1,2,…),について集団平均の統計最を記述した。(5)量的遺伝においてリンケージ検定に適した集団の条件を論じた。リンケージがない場合に平均が同一となる一連の集団を用いれば,それら集団間の平均の差を直ちにリンケージ効果に帰することができる。(6)そのような条件を満す集団群とは,ある特定の集団に一定のA値をもつ一連の集団を交配した後代か,それぞれ一定のA値をもつ2種の集団群間の交配後代である。(7)ゲノム内の平均組換頻度と,それに対応する平均λ(=1-2p)値を計算した結果,集団平均に及ぼすリンケージの影響は,関与する分離遺伝子座が染色体の一部に局在している場合を除けば,いっぱんには小さいと結論される・
- 日本育種学会の論文
- 1978-06-01
著者
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