西部熱帯太平洋で発生した水温負偏差と台風9626号について : 凌風丸海洋観測および気象庁海洋データ同化システムによる解析
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概要
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気象庁の海洋気象観測船凌風丸が行った1997年1〜2月の137°E線に沿った海洋観測において, 14〜8°Nの水温躍層付近で平年より2〜6℃低い水温の負偏差域を観測した.気象庁の海洋データ同化システムによるデータから, この負偏差域は直径7〜800kmの円形になっており, 1996年12月下旬に発生したあと1997年2月までほぼ同じ位置に停滞していたことがわかった.また, その発生位置は台風9626号が発生しその後ほぼ停滞していた海域と一致しており, 台風9626号に伴う低気圧性循環が湧昇を発生させ, 水温躍層が上昇したことによって負偏差域が発生したと考えられる.この台風9626号により, その中心が通過した海域では, 通過の前後で海面水温が最大で1.5℃以上下がった.過去の観測例では10日から2週間で海面水温は回復していたが, 今回の場合, 上記の表層水温の負偏差域付近では海面水温が平年より低い状態が1997年3月まで続いた.
- 1998-08-31
著者
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水野 孝則
気象庁気候・海洋気象部海上気象課
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水野 孝則
気象研
-
水野 孝則
気象庁気候・海洋気象部気候情報課
-
高槻 靖
気象庁
-
石川 孝一
気象庁気候・海洋気象部海洋課
-
高槻 靖
気象庁気候・海洋気象部海洋課
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