フィリピン海の中層水と深層水の循環
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概要
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世界海洋循環実験計画(WOCE)の各層観測データにインバース法を適用して,フィリピン海における中層水と深層水の循環を見積もった。1,500m以浅では亜熱帯循環系が卓越するが,水温躍層下では循環が小さなセルに分かれる。北太平洋中層水のフィリピン海への流入量は,σ_θ=26.5〜σ_2=36.7(約500〜1,500m)の密度範囲で11×10^9 kg s^<-1>となる。そのうち8×10^9 kg s^<-1>が亜熱帯循環系内を巡り,残りは熱帯と南シナ海に運ばれる。15°N以南では35×10^9 kg s^<-1>の熱帯塩分極小水が流入するが,半分近くが15〜17°Nの狭い潜流によって東に戻り,残りは北赤道反流下部に送られる。1,500m以深の循環も高気圧性である。σ_2=36.7〜σ_4=45.845(約1,500〜3,500m)の密度範囲では17×10^9 kg s_<-1>の深層水が北上するが,その4分の3は16〜24°Nで東に戻る。残りは24°N以北に達した後,伊豆海嶺と小笠原海嶺の間の切れ目から流入した少量の亜寒帯起源の北太平洋深層水と共に東に向かいフィリピン海を出る。
- 日本海洋学会の論文
- 2002-03-05
著者
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