測定角補正を施した衛星赤外放射温度による植生地に対する顕熱フラックス分布の測定
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概要
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数十km程度の水平スケールにおける顕熱フラックス分布を、衛星赤外データを用い、水田を対象として、その誤差とともに推定した。衛星赤外放射温度に3種類の補正(大気中の吸収物質、衛星の測定角、および地表面の射出率に関する補正)を施すことによって30分間の平均値で二乗平均誤差(RMSE)が25Wm^<-2>という一般的な観測誤差に対して十分小さい誤差で水田上の顕熱フラックスを推定できることが分かった。このうち特に測定角補正が重要であり、測定角補正を行わない場合のRMSEは46Wm^<-2>になった。大気補正と射出率補正はLOWTRAN7にラジオゾンデによるデータを用いることで行われ、補正後の値を地上での観測値と比較したRMSEは1.0℃であった。測定角補正のパラメタリゼーションのためにTroufleau et al.(1997)の提案による経験的な線形式を用いた。この線形式のパラメータは広範囲の葉面積指数(0.01から5)に対して地上観測地に基づいて再決定された。このパラメタリゼーションによって、植生キャノピーの幾何学的構造に起因し、放射温度の測定角によって表れる植被面温度の誤差を十分に補正できることが分かった。しかし、このパラメタリゼーションも顕熱フラックスが大きいときにはその補正が十分ではない。これは植被面温度の誤差が植被面の放射温度と気温との差に対して非線形であることによる。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 2000-12-25
著者
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