名古屋近郊域降水中に含まれるイオン濃度の季節変化:地域汚染と黄砂・台風等で長距離輸送されたイオンが雨水中のイオン濃度に与える影響
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概要
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雨水中のイオン濃度は大気の状況主にイオンの輸送過程により大きく影響を受ける。このプロセスを理解するために, 名古屋市東16 kmの長久手町において0.5 mm降雨量ごとの雨水採取を1993年4月から94年3月まで各降雨について連続して実施した。観測期間に99降雨2457サンプルが得られ, それらの年平均pHは4.76, 硝酸イオンと非海塩性硫酸イオンの濃度の平均値はそれぞれ14.5μeq l^<-1>, 18.0μeq l^<-1>であった。イオン濃度は地域汚染と長距離輸送されるイオンの影響を受け季節変化し, 風向と高い相関を持つことが観測された。春季には黄砂の影響と考えられる高いCa^<2+>濃度が南南西の風とともに観測された。また, 秋季には台風によると考えられる高いNa^+およびCl^-濃度が南南西の風向の時に観測された。一方, 硝酸および硫酸イオン濃度は南風が卓越する時に高かった。同様の傾向は硝酸の原因物質と考えられるNO_2濃度にも認められることから, これらのイオンはその方位に相当する愛知県・三河地域から発生した汚染ガスに由来するものと考えられる。さらに, NH_4^+は名古屋周辺から輸送される興味深い傾向が見られた。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1998-02-25
著者
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