1979年初夏の東アジアモンスーンの解析 : 梅雨前線の構造と大規模場との関係
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概要
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再解析されたFGGE3bデータセットを用いて1979年初夏の東アジアモンスーンの大規模スケールの特徴の研究を行なった。とくに東アジアに準定常的に存在するレインバンド(梅雨前線)の構造の解析と周囲の大規模場との相互作用の研究をSOP2の期間(1979年5月5日から7月5日)について行なった。梅雨前線の信頼できる平均的な構造を得るためにコンポジットの手法が用いられた。解析の際には小規模スケール現象を除去するために時間・空間的な平均操作を行なった。梅雨前線には2つの対照的な特徴が見いだされた。南西水蒸気流の位置と強さは梅雨前線と良く対応していた。さらに梅雨前線は常に上層の西風ジェットと下層の高気圧性シェアの間に位置していた。梅雨前線の近くの下層(上層)においては強い収束(発散)、低気圧性(高気圧性)循環、西風(東風)の強化、それに伴う弱い鉛直シェアと弱い温度勾配が見いだされた。同時に前線の約10度北側では強い上層ジェット、強い鉛直シェアと温度勾配が見いだされた。梅雨前線の全ての場は鉛直に北側に傾き、その結果1000mbから200mbまでの全ての場は密接に関連付けられることがわかった。とくに西風の強化は下層では前線の軸付近に、上層では北側に共に見いだされる。地衡風近似と前線に沿っての場の一様性は平均操作を行なうとかなりよい。準地衡風近似に基づいた簡単な計算から、凝結による非断熱加熱は観測された高度場の偏差と似たパターンと大きさを再現できることがわかった。これから梅雨前線の大規模な特徴は準地衡風近似で定性的に矛盾なく説明されることが示唆される。さらに、非断熱加熱が梅雨前線を維持する原動力であり、梅雨前線付近の西風強化や南側の高気圧性シェア強化を引き起こすことも示唆される。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1993-06-25
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