塩酸セフマチレン水和物(S-1090)の免疫学的性質
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概要
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経口セフェム系抗生物質として開発中のS-1090の抗原性(免疫原性および誘発原性)について, 市販の抗生物質との免疫学的交差反応性も含め, モルモット, マウスおよびラットを用いた能動全身アナフィラキシー(ASA)試験, 受身皮膚アナフィラキシー(PCA)試験, 酵素免疫測定法(ELISA)によって検討した。また, 臨床での溶血性貧血の発現の可能性を検討するために健常人の赤血球を用いてのin vitro直接クームス試験を実施した。まず, S-1090で反復免疫したモルモットにおいて, ASAあるいはPCA試験でS-1090の免疫原性は認められなかった。一方, ELISAにおいてS-1090の腹腔内投与によって免疫したモルモットでは弱いながら抗体産生(抗体価:10^1〜10^2)が観察された。また, S-1090で免疫したC3H/HeマウスおよびC57BL/6Jマウスの血清を用いてS-1090の免疫原性を調べた。その結果, S-1090によってラットPCAが1例のC3H/Heマウス血清において誘発され, S-1090に対する抗体がELISAで1例のC57BL/6Jマウス血清において検出された。ただし, アジュバントを用いた場合, S-1090に対する抗体産生の頻度はCMZやCTMと比較して低かった。次に, ASA試験およびPCA試験で誘発抗原としてS-1090を用いてS-1090の誘発原性を調べた。その結果, モルモットではASAおよびPCA試験において, またC3H/HeマウスではPCA試験においてそれぞれ陽性反応が観察された。ただし, 誘発原性はCET, CMZおよびCTMにおいても認められた。PCA試験によってS-1090, PCG, CET, CMZ, CTM間の免疫学的交差反応性を調べたところ, モルモットにおいてS-1090はCETとのみ免疫学的交差反応性を示した。また, 今回の試験ではPCG-CET間およびCBT-CMZ間に二方向の, PCG-CMZ間およびPCG-CTM間には一方向の免疫学的交差反応性を認めた。in vitro直接クームス試験において陽性となる被験物質濃度は, S-1090・Na, PCG, CETの場合それぞれ40mg/mL, 20〜40mg/mL, 2.5〜10mg/Lであった。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 2001-05-08
著者
-
原田 稔
塩野義製薬研究所
-
原田 稔
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
中村 和市
塩野義製薬株式会社 新薬研究所 安全性研究部門
-
竹内 三津男
塩野義製薬研究所
-
渡辺 昭
塩野義製薬研究所
-
竹内 三津男
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
渡辺 昭
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
永田 雅史
塩野義製薬株式会社新薬研究所
-
中村 和市
塩野義製薬株式会社新薬研究所
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