新規非イオン性等浸透圧造影剤iodixanolのマウス, ラットおよびサルにおける静脈内単回投与毒性
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概要
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非イオン性二量体のX線造影剤であるiodixanolをマウス, ラットおよびサルに単回静脈内投与して, その毒性を検討した。その結果, LD_<50>値はマウスでは雄が17.9 gI/kg, 雌が16.2 gI/kg, ラットでは雄が18.8 gI/kg, 雌が22.0 gI/k9およびサルでは10.0 gI/kgよりも大きいと推定された。マウスおよびラットでは, 性差は認められず, また, 明らかな種差も認められなかった。主な毒性症状として, 自発運動の低下, 眼瞼下垂, 呼吸抑制および腹部着床がマウスおよびラットの多くの例に認められ, その後体温低下等を示し, マウスでは投与中, 投与直後および投与後1日から4日まで, ラットでは投与中から投与後14日に死亡が観察された。一方, 生存例ではこれらの症状は投与後8日にほぼ消失した。その他に, ラットおよびサルでは投与日に粘稠尿の排泄がみられた。生存例では, 一過性の体重増加抑制が観察されたが, 試験終了時には対照群とほぼ同様の体重増加を示した。マウスおよびラッ卜の死亡例では肉眼的に腎髄質の暗赤色化, 鬱血あるいは出血がみられ, 組織学的検査により皮質尿細管上皮細胞の空胞化, 皮質内層尿細管の壊死, 腎髄質の鬱血あるいは出血が認められた。さらに, ラットでは高用量群に胸水および腹水が観察された。生存例では腎の褪色が観察され, ラットではさらに腎近位尿細管の空胞化が観察された。サルの臨床検査において, 白血球数, 血小板数, GPTおよびUNの増加が認められたが, 病理学的検査において投薬に関連する明らかな変化は認められなかった。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1995-10-15
著者
-
古濱 和久
第一製薬株式会社安全性研究所
-
野村 護
日本トキシコロジー学会講習会小委員会
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大野 広志
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
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野村 護
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
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古濱 和久
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
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古濱 和久
第一製薬株式会社・研究開発本部・安全性研究所
-
源田 百合
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
-
山村 久
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
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高橋 裕詞
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
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石島 奈美
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
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柿畑 耕司
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
-
柿畑 耕司
第一製薬(株)開発研究所安全性研究センター
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