ラット実験的腎障害の臨床生化学的研究 : 第3報 血中PSP半減期と腎障害の関連性
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概要
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phenolsulfbnphthalein(PSP)1回静注後の血中消失率からラット腎機能を評価する方法に着目して,PSPの血申消失,尿および胆汁中排泄率,血清蛋白結合率の挙動を観察するとともにHgGl<SUB>2</SUB>, gentamicin(GM),puromycin aminonucleoside(AN)および抗ラット腎糸球体基底膜(抗GBM)血清投与ラットを用いて血中PSP半減期と他の腎機能パラメータとの関連性を検討した.正常ラットにPSP5mg/kgを静注すると投与10分から30分間では血中PSPは指数関数的に直線怪をもって減少し,半減期を算出すると12.0±0.3分(n=100)であった.また,投与されたPSPの71%前後が腎から尿中に,約19%が胆汁中に排泄され,血中PSP濃度が低下するにしたがって血清蛋白結合率は上昇した.HgCl<SUB>2</SUB>投与ラットでは血申PSP半減期遅延とともに,用量依存的な尿中PSP排泄の低下,代償的な胆汁中排泄の増加および血清蛋白結合率低下がみられた.また,これらHgCl<SUB>2</SUB>投与ラットでは血中PSP半減期と尿細管分泌能を表わすP-amino-hippuric acid(PAH)の尿細管排泄極量(Tmp<SUB>AH</SUB>)はよく相関していた.GMおよびAN投与ラットでも血中PSP半減期の遅延は明らかで,HgCl<SUB>2</SUB>投与ラットを含め血中PSP消失遅延と血清UN,血清creatinine,尿蛋白,腎の病理変化との相関関係はほぼ良好であった.一方,尿細管障害の認められない抗GBM血清投与ラットでは血中PSP半減期の遅延はほとんどみられなかった.以上のことから血中PSP半減期の測定は腎尿細管機能とくに分泌能把握に有用であり,無麻酔下に同一個体で経時的に追跡できることから腎障害の位置づけがより厳密に行えると結論した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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古濱 和久
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
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古浜 和久
岡山大学 薬
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小野寺 威
第一製薬株式会社 開発研究所 安全性研究センター
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古濱 和久
Development Research Laboratories Daiichi Pharmaceutical Co. Ltd.
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山田 昌男
第一製薬株式会社研究所安全性研究センター
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