Ranitidine hydrochlorideのマウス, ラットおよびウサギにおける急性毒性並びにラットにおける経口投与亜急性毒性試験
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概要
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Histamine H_2-receptor antagonistであり, 消化性潰瘍の治療剤として期待される ranitidine hydrochlorideおよびその代謝産物の一種であるranitidine N-oxideの急性毒性並びに35日間経口投与によるranitidine hydrochlorideの亜急性毒性を検討し, 次のような成績を得た。(1) 雌雄の5週齢および12週齢マウスおよびラット並びに12週齢ウサギに対するranitidine hydrochlorideの経口, 静脈内, 皮下, 腹腔内および筋肉内投与によるLD_<50>値は約60mg/kg(12週齢雄マウス, 静脈内) 〜6610 m9/k9 (12週齢雄ラット, 経口)の範囲内であった。マウスにおいてはウサギおよびラットの場合よりも低いLD_<50>値がみられ, ラットの経口投与の場合にのみ雌におけるLD_<50>値は雄よりも有意に低かった。(2) 急性毒性試験における症状としては, 使用したすべての動物種に共通して不規則な呼吸・眼球突出・チアノーゼ・流涎・ジャンピング・疾走・強直性ないし間代性の痙撃が主なものであった。しかしこれらの症状は24時間以内には消失し, それ以降は ranitidine hydrochloride溶液の高張性に起因すると思われる投与部位(皮下または筋肉内投与)の壊死等の局所障害性以外には著変はみられなかった。(3) RanitidinehydrochlorideのLD_<50>値の約12倍である1000mg/kgのranitidine N-oxide をマウスの静脈内に投与したが,死亡例は認められなかったことからranitidine N-oxideの毒性はほとんど無視できるものと考えられた。(4) Ranitidine hydrochlorideの0.25・0.5・1.0・2.0および2.5g/kg/dayのラットにおける35日間連続経口投与亜急性毒性試験においては, 1.0または2.0 g/kg/day以上の投与群の雌雄に自発運動の抑制, 流涎によると思われる被毛の着色, 水消費量の増加, 血小板数および肝重量の増加, 肝臓の滑面小胞体の軽度な増加等が認められた。しかしこれらの変化は31日間の回復期間後にはほほ消失した。(5) 死亡例は2.5 g/kg/day群のみにみられ, これらにおける死亡前の症状はいずれも急性毒性試験における症状と類似していた。(6) Ranitidine hydrochlorideの35日間経口投与における最大無作用量は雄で0.5, 雌で0.25 g/kg/dayであった。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1983-01-25
著者
-
白井 俊一
順天堂大学内科 病理
-
松本 道男
順天堂大学医学部病理学第一
-
松本 道男
順天堂大学伊豆長岡病院病理
-
松本 道男
順天堂大学医学部病理学教室
-
田村 穣
新日本実業株式会社 東京研究所
-
佐藤 憲雄
新日本実業株式会社 東京研究所
-
江崎 洋志
新日本実業株式会社 東京研究所
-
宮本 晴美
新日本実業株式会社 東京研究所
-
小田 早苗
新日本実業株式会社 東京研究所
-
平井 清美
新日本実業株式会社 東京研究所
-
戸門 洋志
新日本実業株式会社 東京研究所
-
白井 俊一
順天堂大 第二病理学
-
白井 俊一
順天堂大第二病理
-
江崎 洋志
新日本実業
-
白井 俊一
順天堂大学
-
白井 俊一
順天堂大学第2病理学教室
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