登熟期間の降雨が小麦の品質に及ぼす影響 : II. 長雨被害小麦の品質について

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暖地の代表的品種である農林52号・農林61号・農林72号およびシラサギコムギを用い, 記録的な長雨害をうけた昭和38年産小麦を平年作の昭和37年産小麦と対比し, 品質特に一次・二次加工適性について調査を行ない, 雨による品質低下の実態を下記のごとく明らかにし, 若干の考察を試みた. 1. 原粒では千粒重・l重が低くなり, 灰分はふえ粗蛋白含量は著しく増加した. 2. 製粉歩留はあまり変らないが, BM比が高まりミリングスコアは悪く, セモリナ生成率・粉砕率とも低下した. 3. 末粉灰分は増したが, 60%灰分は変らなかつた. 粉の色相としては, 白さ・明るさ・胚乳色素による色づき・混入皮部による色づきとも悪化したが, 特に後二者の劣化が著しかつた. 4. ファリノグラムでは吸水率高まり, 生地の安定度も若干増したが, 生地の弱化度は著しく大きくなりV. V. は小さくなつた. 5. エクステンソグラムでは, 生地の粘弾性の低下がひどく, 面積・伸張抵抗・形状係数とも著しく悪化した. 6. アミログラムの最高粘度は, 前年の1/2〜1/5と大幅に低下した. 7. 長雨害に品種間差がみられ, 一次加工適性ではシラサギコムギの被害が最も少なく, 農林52号は中間であつた. しかし, ニ次加工適性では農林52号の被害が一番少なく, 他の3品種の被害は多かつた.
日本作物学会の論文
1964-12-30

登熟期間の降雨が小麦の品質に及ぼす影響 : II. 長雨被害小麦の品質について

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