麦類の光合成に関する生態学的研究 : 第2報 圃場条件におけるコムギ, ライムギ個体群の光合成
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概要
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コムギ(品種フジミコムギ)とライムギ(品種ペトクーザ)を埼玉県北本市の圃場に栽培し, 生育期間中4回, 同化箱(底面積34×34cmおよび69×69cm)を用い, 通気方式により個体群光合成の日変化の測定を行なった. 同時に日射, 気温の測定も行なった. 得られた主な結果は次の通りである. 1) 個体群光合成〜日射関係は, コムギ,ライムギともに, LAIの小さい時期には例外なく飽和型曲線を示した. LAIの増大に伴ない, 光飽和点は次第に強日射の方に移り, 出穂期前後には非飽和型の光合成-日射曲線を示した. 2) 登熟期にはコムギおよび, 特に, ライムギ個体群でLAIの減少がみられたが, 個体群光合成は, いずれの作物の場合にも, 葉身のLAIの値から予想される速度より, 高い速度を示した. 3) 厳寒期におけるコムギ個体群の午前中の光合成速度は, 早朝の気温が著しく低下する日には, 日出後の数時間, 低下することが観測された. また日中の光合成最高値も早朝の冷え込みが著しい日ほど低くなる傾向がみられた. 最低気温が-1.5℃以上の日には, このような午前中の光合成の低下はみられなかった. 一方, ライムギ個体群の光合成は, 少くとも-4℃以内の冷え込みでは, 午前中の低下現象はみられず, むしろ午後に光合成低下が起る場合が観測された. 4) 同化箱に黒ビニール布をかけて光をさえぎり, コムギ個体群の暗呼吸を生育各時期に測定した. コムギの暗呼吸速度の温度係数(Q_10)は, 1〜3月には2.0(0〜20℃), 4月は1.9(5〜15℃), 5月は1.8(10〜20℃)であった
- 日本作物学会の論文
- 1976-03-30
著者
-
宇田川 武俊
(元)農業環境技術研究所
-
武田 元吉
農林省農業技術研究所
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宇田川 武俊
農林省農業技術研究所
-
岩城 英夫
農林省農業技術研究所
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武田 元吉
栃木県農業試験場栃木分場
-
宇田川 武俊
農技研
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