口腔扁平上皮癌におけるP型カドヘリンおよびサイクリンD1の発現
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概要
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口腔癌細胞の接着機能および増殖能を明らかにするためにP型カドヘリンおよびサイクリンD1の発現について免疫組織化学的に検索した.生検で得られた上皮過形成8例,上皮異形成5例および扁平上皮癌52例を用いた.P型カドヘリンの発現は,正常口腔粘膜や上皮過形成では,基底細胞の基底膜面を除く細胞膜にみられたが,有棘細胞層や角質層の細胞の膜にはみられなかった.上皮異形成では,さらに基底細胞層から有棘細胞層に,そして扁平上皮癌では,癌胞巣周辺部から中心部にかけての細胞の膜にP型カドヘリンの発現がみられた.しかし,間質と接する部の細胞膜や癌真珠を構成している細胞の膜にはみられなかった.一方,サイクリンD1の発現は,正常口腔粘膜や上皮過形成では,基底細胞層の細胞に散在性にみられた.上皮異形成では,サイクリンD1の発現は,基底細胞層から有棘細胞層にかけての細胞の核に,そして扁平上皮癌では胞巣を構成しているすべての癌細胞の核に発現がみられた.その過剰発現は,上皮異形成では4例および扁平上皮癌では20例認められた.P型カドヘリンの発現と扁平上皮癌の組織学的分化度との間には有意差がみられた(P<0.01).サイクリンD1の発現と扁平上皮癌の組織学的分化度の間には有意差は認められなかった.P型カドヘリンとサイクリンD1の発現の間に相関関係がみられた(P=0.045).P型カドヘリンは,上皮異形成の基底層および扁平上皮癌の増殖能の強い細胞の膜に過剰発現し,サイクリンD1の過剰発現を伴っていた.P型カドヘリンは,細胞接着だけでなく細胞増殖にも関与し,細胞周期の調節因子と関連していることが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 2002-03-25
著者
-
田中 昭男
大阪歯科大学口腔病理学講座
-
和唐 雅博
大阪歯大・口腔病理
-
和唐 雅博
大阪歯科大学口腔病理学講座
-
小林 秀樹
大阪歯科大学口腔病理学講座
-
田中 昭男
大阪歯科大学
-
和唐 雅博
大阪歯科大学口腔病理学
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