水面施用したイソプロチオランの田面水および稲体中での消長
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イソプロチオラン(フジワン^[○!R])12%粒剤を40 kg/haの割合で時期を変えて水面施用し, 田面水中および稲体中での消長をみた.田面水中濃度は, 施用時期にかかわらず1∿3日で最高値(3∿8 ppm)となり, その後速やかに消失した(半減期4日).稲体中濃度はより緩やかに変化し, 3∿11日で最高値(4∿8 ppm)となった.稲体中最高濃度が施用時期にかかわらずほぼ同一レベルになったことは, 吸収量が稲の大きさと相関していたことになる.稲体内に吸収されたイソプロチオランは, その後半減期1カ月で減少したが, 早期施用の場合には新たな生育による希釈のためか, より速い濃度減少もみられた.葉身部と葉鞘部では濃度消長はおおむね一致し, イソプロチオランが茎葉部に均一に分布することを示唆した.しかし, 穂部では常にこれより低く推移し, 玄米中残留も<0.006∿0.066 ppmと低かった.玄米中の残留値は, 稲わらのそれと同様に, 施用から収穫までの期間が長くなるほど低くなっていた.このようなイソプロチオランの消長は, そのイモチやウンカに対する持続効果との関連できわめて重要な知見といえよう.
- 1982-08-20
著者
-
内田 又左衛門
Institute of Life Science Research, Nihon Nohyaku Co., Ltd.
-
内田 又左衛門
日本農薬(株)安全性研究所
-
土屋 勝夫
Institute of Life Science Research, Nihon Nohyaku Co., Ltd.
-
金内 正俊
Institute of Life Science Research, Nihon Nohyaku Co., Ltd.
-
金内 正俊
Institute Of Life Science Research Nihon Nohyaku Co. Ltd.
-
土屋 勝夫
Institute Of Life Science Research Nihon Nohyaku Co. Ltd.
関連論文
- フルトラニルのイネおよびキュウリにおける代謝
- フルトラニルの湛水および畑地条件下の容器内土壌における分解
- 殺菌剤 dialkyl dithiolanylidenemalonate 類のイネ体内およびラット肝ホモジネートでの生分解性
- ^C-クロメトキシニルのラットでの代謝
- 殺菌剤ジアルキルジチオランイリデンマロナート類のヒメダカによる生物濃縮
- フルトラニルのラットにおける代謝
- 農薬の環境動態における理論的予測とモデル化--物理化学的性質と環境挙動 (農薬の環境動態)
- 1Ca08 高等植物界におけるブラシノライド様活性物質の分布
- C206 フェンピロキシメート(ダニトロン^[○!R])およびその代謝物の土壌残留分析法
- Buprofezin および flutolanil の疎水性と土壌吸着およびイネ体内移行
- クロメトキシニルのラットにおける代謝研究
- 殺菌剤イソプロチオランの作用機作と環境中動態の解明における定量的構造活性相関の応用 (構造活性相関とドラッグデザイン)
- 水面施用したイソプロチオランの田面水および稲体中での消長
- イソプロチオランの土壌吸着と移行性
- ブプロフェジンの昆虫成育制御機構 (害虫防除剤の作用機構--最近の進歩)
- Buprofezin の湛水および畑地条件下の容器内土壌における分解
- Isoprothiolane およびその sulfoxide のラット肝 in vitro およびイネにおける代謝の立体選択性
- イソプロチオラン関連化合物の環境中における動態
- 水溶液中の殺菌剤ジアルキルジチオランイリデンマロナート類のイネによる吸収移行
- 殺菌剤ジアルキルジチオールアニリデンマロナート類およびその類縁体の土壌吸着と移行性
- ブプロフェジンの昆虫成育制御機構