いわゆる天然・植物抽出液製剤に合成殺虫剤が混入されていることの追加証明
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概要
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有機農業で害虫防除に使用されるいわゆる天然・植物抽出液のなかには, 合成ピレスロイド剤のサイパーメスリンが混入されているものがあることを明らかにした前報の結果をさらに確認するために, 有効成分のガスクロマトグラフィー質量(GCMS)分析を行なった.夢草(A), 夢草(B), 碧露, 健草源・天, および登録農薬であるアグロスリン乳剤のガスクロマトグラムには, 標準のサイパーメスリンと一致する保持時間を示す共通のピークが検出された.このピークの質量スペクトルを比較したところ, 分子イオンピークは観察されなかったものの, 主要なフラグメントイオンとしてm/z 209, 181, 163, 127, 91, 77, 51が観察され, フラグメンテーションパターンはサイパーメスリンのそれと完全に一致した.したがって, 供試した天然・植物抽出液にはすべてサイパーメスリンが混入されていることが確認された.GC-ECDで有効成分濃度の定量を行なったところ, 夢草(A), 夢草(B), 碧露, および健草源・天のサイパーメスリン濃度は, それぞれ1.9, 2.0, 3.4および1.4%であると推定された.
- 日本農薬学会の論文
- 1996-11-20
著者
-
本山 直樹
Laboratory of Pesticide Toxicology Graduate School of Horticulture, Chiba University
-
呉 鴻圭
千葉大学園芸学部生態制御化学研究室
-
呉 鴻圭
Laboratory of Pesticide Toxicology, Faculty of Horticulture, Chiba University
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