エステラーゼ阻害反応における速度定数の算出に関する改良法
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概要
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殺虫剤によるカルボキシルエステラーゼ(CE)やアセチルコリンエステラーゼ(AChE)に対する阻害反応のパラメータ, すなわち解離定数(K_d), アシル化定数(k_2)および脱アシル化定数(k_3)の測定法について検討した.その結果, 阻害反応の前定常状態に着目して得た式(前定常状態式), 定常状態に着目して得た式(定常状態速度式), およびHart&O'Brienの方法を改良した式を, パラメータのもつ条件や反応条件によって使い分けることによって, より正確にかつ簡便にパラメータ値を測定できることを示した.すなわち, k_3は前定常状態式と定常状態式を組み合わせることによって, 従来のゲル濾過法や希釈法を用いなくても算出できる.また, K_dとk_2はk_3を前定常状態式と定常状態式のどちらに代入しても求まる.一方, Hart&O'Brienの改良法ではK_d, k_2およびk_3の各値を阻害剤の濃度が単独であっても求めることができる.k_3がk_2と比較してあまり差がない場合は, 定常状態式を用いることによってより正確な値が算出できる.一方, k_3がk_2よりも著しく小さい場合は, K_dとk_2は前定常状態式やHart&O'Brienの改良法を用いたほうがより正確な値が算出される.また, K_dは定常状態に着目して導いた別の式を用いることによって, AChE活性の経時的変化を観察しなくとも算出できることを示した.この方法では精製された酵素が十分量得られれば, k_2が大きい場合(k_2>30 min^<-1>)であっても面倒なストップトフロー法を用いないでK_dを求めることができた.
- 日本農薬学会の論文
- 1991-05-20
著者
-
本山 直樹
千葉大学園芸学部生態制御化学研究室
-
大井 正典
バイエルクロップサイエンス株式会社
-
大井 正典
千葉大学園芸学部環境生物学研究室
-
DAUTERMAN Walter
千葉大学園芸学部環境生物学研究室
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