ハスモンヨトウ幼虫の皮膚切片における殺虫剤透過の薬物速度論的解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
拡散セルに装着したハスモンヨトウ幼虫の皮膚切片に, バミドチオン, カーバリルおよびフェンバレレートを局所施用して透過性を調べた.低薬量ではカーバリルの透過が最も速く, バミドチオンはカーバリルより少し遅かった.一方, フェンバレレートはこれらの化合物と比較して透過速度はきわめて遅かった.高薬量を処理した場合は透過の割合が減少し, この傾向はとくにカーバリルとフェンバレレートで顕著であった.透過速度の薬量依存性をMichaelis-Mentenの速度式で近似して, バミドチオン, カーバリル, フェンバレレートの最大透過速度VとMichaelis定数Kmを求めたところ, おのおの0.021, 0.015, 0.0029μg/hr, および0.072, 0.016, 0.29μgであった.また, 速度論的にはMichaelis-Menten型の速度過程とは別に, 1次式に従う速度過程が存在する可能性が示され, 1次速度定数k_nはおのおの42, 6.5, 0.74×10^<-3>hr^<-1>であった.一方, 皮膚に蓄積された放射能の割合は, 低薬量(0.1μg/頭)ではどの化合物も処理薬量の10から20%で大きな違いはなかったが, 高薬量では減少し, この傾向はとくにフェンバレレートで顕著であった.薬剤の透過速度と皮膚への蓄積に対するこれらの薬剤の組合せの影響を調べたところ, ^<14>C-カーバリルとバミドチオンの組合せのように透過速度と蓄積量が両方とも減少する場合もあれば^<14>C-フェンバレレートとバミドチオンの組合せのように皮膚への蓄積量にしか影響しない場合もあることから, 昆虫の皮膚を通しての殺虫剤透過にはFickの拡散の法則以外の因子が関与していることが示唆された.
- 日本農薬学会の論文
- 1991-02-20
著者
関連論文
- 7 種薬剤のコナヒョウヒダニおよびケナガコナダニの行動に及ぼす影響
- S083 ネオニコチノイド剤の西洋ミツバチに対する選択毒性の機構(S08 殺虫剤作用機構談話会「ネオニコチノイド剤の特徴、作用性、及び生態影響評価」)
- 13 残渣接触法によるコナヒョウヒダニの薬剤感受性の評価
- ろ紙接触法による屋内塵性ダニ類 3 種に対する 16 薬剤の殺ダニ効力の評価
- 有機農業用資材として用いられるいわゆる天然・植物抽出液「夢草」に含まれる殺虫活性成分
- 茨城県の畜鶏舎におけるハエ類の発生消長
- F15 殺虫剤抵抗性機構の薬物速度論的解析 : イエバエのダイアジノン抵抗性における活性化とAChE阻害の役割(毒物学・殺虫剤)
- 各種市販および自家製木酢液・竹酢液の変異原性
- 各種市販および自家製木酢液・竹酢液の殺虫活性と水生生物に対する影響
- 各種市販および自家製木酢液・竹酢液の主要成分と抗菌活性
- S081 イミダクロプリドおよびチアクロプリドの特徴、特に環境中での挙動と運命を中心に(S08 殺虫剤作用機構談話会「ネオニコチノイド剤の特徴、作用性、及び生態影響評価」)
- 殺虫剤抵抗性研究への薬物速度論的手法の応用
- 殺虫剤抵抗性研究への薬物速度論的手法の応用
- ダイアジノン抵抗性イエバエに対する殺虫剤の連合作用
- In Vitro における殺虫剤の連合作用
- 薬物速度論的手法による殺虫剤の連合作用の理論的解析
- エステラーゼ阻害反応における速度定数の算出に関する改良法
- ハスモンヨトウ幼虫の皮膚切片における殺虫剤透過の薬物速度論的解析
- 4E Mechanisms of Tolerance and Resistance(MAIN TOPIC 4 MODES OF ACTION AND RESISTANCE)
- イエバエにおける高レベルのダイアジノン抵抗性の生化学的要因
- G50 殺虫剤の連合作用に関するin vitro研究 : 反応速度論的手法による協力効果の予測と測定(毒物学・殺虫剤)
- D27 殺虫剤抵抗性機構の薬物速度論的解析 : イエバエのダイアジノン抵抗性における透過、解毒、活性化、AChE阻害の役割と相互作用(毒物学・殺虫剤)
- W13 八千代系イエバエにおけるダイアジノン抵抗性の遺伝学的解析(殺虫剤・毒物学)
- 第 16 回 農薬環境科学研究会
- ピレスロイド抵抗性イエバエに対するピペロニルブトキシドの共力効果
- 関東地方におけるイエバエのピレスロイド抵抗性の現状