マウスにおける 1, 3-ジクロロプロペンによる肝毒性発現機序
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概要
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1, 3-ジクロロプロペン(DCP)による肝毒性発現の機序を調べるためDCPの毒性発現に対するGSH濃度, GST活性, チトクローム(Cyt.) P-450含量の影響をマウスを用いて調べた.ピペロニルブトキシド(PIB)およびブチオニンスルホキシイミン(BSO)は, それぞれCyt. P-450およびGSH合成阻害薬として用いた.DCP 300 mg/kgの経口投与では, GOT, GPT活性が有意に増加し, 投与15時間後では肝小葉中心性腫大が認められたが, 100 mg/kgでは変化がなかった.DCP 300 mg/kg投与により増加したGOT, GPT活性は, PIB前処置により有意に減少した.この前処置により, DCP肝中濃度は有意に増加した.PIB前処置により, Cyt. P-450含量が減少したが, その後のDCP投与によるCyt. P-450の減少は阻害された.BSO前処置動物ではDCP 100 mg/kg投与によりGOT活性が有意に増加した.また, 肝GSH濃度およびGST活性は減少した.この前処置によりDCPの肝中濃度は有意に増加した.DCP投与2時間後(肝臓中DCPは消失)システインを投与した場合, DCPによるCyt. P-450含量の減少には影響を与えなかったが, GOT, GDT活性の増加が抑制され, 肝GSH濃度が増加した.これらの結果から, DCPはCyt. P-450経由で代謝され, その代謝物が肝障害を誘発することが示唆された.また, GSHがDCPの解毒およびDCPによる肝障害の修復に重要な役割を果たしていることが示唆された.
- 日本農薬学会の論文
- 1990-08-20
著者
-
宮岡 貞次
Institute Of Environmental Toxicology
-
秋山 仁子
Institute Of Environmental Toxicology
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津田 修治
(財)残留農薬研究所毒性部
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白須 泰彦
(財)残留農薬研究所毒性部
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山下 恵里子
Institute of Environmental Toxicology
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長谷川 珠美
Institute of Environmental Toxicology
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津田 修治
Institute of Environmental Toxicology
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白須 泰彦
Institute of Environmental Toxicology
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