クロルピクリン蒸気の急性吸入毒性に対する暴露様式の影響
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概要
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全身, 鼻部, 皮膚の三つの暴露様式で8週齢のフィッシャー系雄性ラットにクロルピクリン(CP)蒸気を4時間暴露し, その急性毒性を決定した.全身暴露の半数致死濃度(LC_<50>)は14.4ppm, 鼻部暴露のLC_<50>は6.6ppmであった.25.0ppmのCP蒸気を皮膚暴露された動物では, 死亡は認められなかった.全身暴露実験では, 毒性効果の発現パターンは2相性であり, 第1相は暴露終了後から3日間であり, 第2相は暴露後6∿14日目の間であった.両時期には主として呼吸器に対する刺激症状および傷害が認められた.死亡の大部分が暴露後24時間以内に認められ, 残りは暴露後8∿9日目に高濃度暴露群において認められた.鼻部暴露実験では, 毒性効果は第1相においてのみ発現し, 全身暴露実験において認められたものに類似していた.死亡のすべてが, 暴露後24時間以内に認められた.皮膚暴露実験では, 毒性効果はまったく認められなかった.これらの結果から, CP蒸気の全身暴露による急性経皮毒性はその急性吸入毒性に比べて非常に弱く, 無視できる程度であるが, 鼻部暴露中の拘束はその急性吸入毒性を増強させることが判明した.
- 日本農薬学会の論文
- 1991-02-20
著者
-
津田 修治
(財)残留農薬研究所毒性部
-
吉田 稔
Mitsukaido Laboratories, Institute of Environmental Toxicology
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津田 修治
Mitsukaido Laboratories, Institute of Environmental Toxicology
-
白須 泰彦
Mitsukaido Laboratories, Institute of Environmental Toxicology
-
白須 泰彦
(財)残留農薬研究所毒性部
-
村尾 紀子
Mitsukaido Laboratories, Institute of Environmental Toxicology
-
村尾 紀子
Mitsukaido Laboratories Institute Of Environmental Toxicology
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吉田 稔
Mitsukaido Laboratories Institute Of Environmental Toxicology
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