コリンエステラーゼ阻害以外の機序によるP=S型有機燐剤のラットにおける致死作用
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概要
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P=S型有機燐剤であるFenthionとDiazinonの致死用量をウレタン麻酔下ラットに静注した際の急性致死作用の機序を解析するため麻酔下で 1)無処置 2)人工呼吸下 3)迷走神経切断下 4)アトロピン処置下 5)脊髄破壊下(同時に迷走神経切断とアトロピン処置を施した)の5つの状態下で静注し, 血圧・心拍・呼吸に対する作用を検討した. 無処置ラットではFenthion 200 mg/kgまたはDiazinon 100 mg/kgにより一過性無呼吸・徐脈・血圧低下がみられ死亡した. 人工呼吸下ではFenthion 200 mg/kgで生存したが, Fenthion 400 mg/kgで血圧低下がみられ死亡した. 迷走神経切断下, アトロピン処置下, 脊髄破壊下ではFenthion, Diazinonとも無処置と同用量で死亡した. 徐脈はアトロピン処置により消失したが, なお血圧低下が見られ死亡した. さらに, 脊髄を破壊して血管運動中枢からの交感神経性発射により維持されている血管緊張を除き, かつムスカリンレセプターの関与を除外したラットにおいても血圧低下がみられ死亡した. 以上より, 致死作用は血圧低下を主な要因とするものであり, この血圧低下はコリンエステラーゼ阻害によるアセチルコリンの蓄積を介するものではなく, 心臓または血管系に対する直接作用に起因するものと考えられた.
- 1992-06-15
著者
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