フェンバレレートおよびその [2S, αS]-体のラットおよびマウスにおける比較代謝
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概要
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フェンバレレート[(RS)-α-cyano-3-phenoxybenzyl-(RS)-2-(4-chlorophenyl)isovalerate]およびその[2S, αS]-体の酸側, アルコール側もしくはCN基の^<14>C標識体をそれぞれ4.2∿30 mg/kgの割合でラット, マウスに1回経口投与すると, 両動物種で酸側およびアルコール側由来の^<14>Cは速やかにかつほぼ完全に尿, 糞に排泄され, ^<14>C組織残留量はきわめて低かった.一方, CN基標識体では前2標識体に比べて^<14>C排泄率はやや低く, ^<14>C組織残留量も高かった.またマウスはラットに比べて^<14>C排泄率が高く組織残留量も低かった.しかし, いずれの標識体を用いても^<14>C排泄率や^<14>C組織残留量に性および異性体間での顕著な差は認められなかった.500ppmのフェンバレレートをラット, マウスに2週間給餌したのち, ^<14>CN-フェンバレレートを1回経口投与すると, 給餌しない場合に比べて, ^<14>Cはより速やかに排泄され, 組織残留量もいっそう低かった.フェンバレレートおよびその[2S, αS]-体はラットとマウスでエステル結合の開裂, 酸側の2および3位での酸化, アルコール側の2′および4′位での水酸化を経て代謝され, 生成したフェノールおよびカルボン酸はグルクロン酸, 硫酸, アミノ酸などと抱合体を形成した.代謝物の構造および量には性, 異性体および投与量による顕著な差は認められなかったが動物種間には次のような明瞭な差が認められた.すなわち, 1) 3-phenoxybenzoic acidのタウリン抱合体はマウスに認められラットには検出されなかった.2) アルコール側の4′位の水酸化体はマウスよりもラットでより多く得られた.3) 3-(4′-hydroxyphenoxy) benzoic acidの硫酸抱合体はマウスよりラットで多く生成した.3) SCN^-はラットよりマウスで多く認められた.
- 日本農薬学会の論文
- 1981-08-20
著者
-
宮本 純之
Research Department, Pesticides Division, Sumitomo Chemical Co., Ltd.
-
大川 秀郎
Research Department, Pesticide Division, Sumitomo Chemical Co., Ltd.
-
大川 秀郎
The Graduate School Of Science And Technology Kobe University
-
金子 秀雄
Research Department, Pesticides Division, Sumitomo Chemical Co., Ltd.
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