術後のStress潰瘍出血例の検討 (<特集>第12回日消外総会シンポジウムII. 上部消化管出血)

概要

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最近の術前後の管理の進歩によって,外科領域における手術の程度・範囲は拡大され,そのことによって当然,種々の外科治療の効果をあげている.反面,それらにともなって術後の合併症においても,従来には少なかったものが,最近多くみられる傾向となった.その1つとして,術後の胃出血があげられる.とくに術後のstress潰瘍出血は代表的なものといえよう.stress潰瘍の発生誘因は,手術,合併疾患または薬剤など多岐にわたり,1つのみの条件ではなく,多種の要因が複雑にからみあっているもので,直截的に簡明には説明し難いものといえる.またstress潰瘍は術後早期に発生する症例が多く,その治療についても一般の上部消化管出血と比較して,多くの問題があり,治療に困難を感ずる場合が多い.さらに,stress潰瘍出血の病態把握が十分でないためか,これら出血例の予後は現時点では極めて不良といわざるをえない.今回,術後胃出血症例のうち,stress潰瘍出血と考えられた29例について,臨床病態とくに手術所見および病理組織学的所見を分析し,あわせて2・3の実験成績と比較しながらstress潰瘍の成因,治療の考え方について述べてみる.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1978-12-01