術後再発潰瘍と Zollinger-Ellison 症候群(<卒後教育セミナー>第14回卒後教育セミナー・消化性潰瘍)
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概要
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胃,十二指腸潰瘍の外科的治療後に発生または,再発・再燃した消化性潰瘍を総称して術後再発潰瘍(post operative recurrent ulcer)としている.19世紀末の潰瘍外科では十二指腸潰瘍に対して胃空腸吻合が主に行われ,Braun(1889年)は術後に発生した空腸潰瘍(ulcus pepticum jejuni)を剖検例で報告した.これが契機になりMann-Williamsonの実験をはじめとした多くの消化性潰瘍の発生に関する研究が進んだ.その後幽門側胃切除が広く行われるようになってからは潰瘍が吻合口近傍に発生したものを吻合部潰瘍(stomal ulcer, anastomotic ulcer)または辺縁部潰瘍(mar-ginal ulcer)と呼称されている.一般に繁用されている吻合部潰瘍は胃空腸吻合後に空腸に発生したものであったがBillroth I法再建後吻合部付近に再発したものも含めて取り扱われている.しかし本邦でも最近15年の間に胃を切除しないで胃を温存する選近迷切術(以下SPV)などの迷切術が徐々に普及してきている.これらの手術後,温存された胃あるいは十二指腸に生ずる潰瘍の再発,再燃はこれまでの吻合部潰瘍とは発生頻度・病態などの点で異なり区別されている.したがって術後再発潰瘍の治療はそれぞれの病因に応じて対策を講じなければならない.一方術後再発を繰り返す場合や潰瘍の発生部位が通常ではないような場合はZollinger-Ellison症候群(以下Z-E症候群)を考えなければならない.今回,術後再発潰瘍とZ-E症候群について病態生理・診断・治療について述べる.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 1989-08-01
著者
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