消化器外科における糖尿病合併患者の栄養管理(<特集>第26回日消外総会シンポI : 消化器外科と糖尿病)

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近年,消化器手術患者が糖尿病を合併する機会は増加の傾向にあり,教室における胃切除例でみても,糖尿病合併患者の割合は17%に達している.これらの症例に対しては,糖尿病の重症度,手術侵襲の程度に応じて,sliding scale法に基づくインスリン皮下投与や,インスリン微量持続静注法などを用いて管理し,良好な結果を得ている.しかし,このような管理は,低血糖,あるいは高血糖の危険を生じたり,また密度の濃い管理を要求される面もあり,すべての症例をブドウ糖とインスリンで管理するのは必ずしも実際的ではない.教室では,最近脂肪乳剤を積極的に併用してブドウ糖,およびインスリンの投与量を節約し,血糖,尿糖のコントロールを容易にし,繁雑な管理の機会を減らすことができている.しかし,種々の代謝異常をともなう糖尿病症例に対しては,脂肪乳剤を投与するにあたって,ケトン,トリグリセライドなどの脂質の測定や,窒素平衡の検討にとどまらず,代謝の背景を少しでも明らかにし,より合理的な投与を行うことが必要であると思われる.教室では,脂肪乳剤の主成分である長鎖脂肪酸の代謝に重要な役割を果すcarnitineの動態の面と外因性脂肪のエネルギー代謝の面に注目し検討してきたので,脂肪乳剤併用の実際と併せて報告する.
一般社団法人日本消化器外科学会の論文
1986-04-01

消化器外科における糖尿病合併患者の栄養管理(<特集>第26回日消外総会シンポI : 消化器外科と糖尿病)

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