フライス切削時における工具すくい面上の応力分布と切削機構 : 断続切削時における食いつきの研究(第2報)

概要

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この論文では, フライス切削時の過渡切削状態における工具-切りくず接触面上の応力分布を光弾性実験法によって求めた.その結果, 次のようなことがわかった.すなわち, 乾切削時の工具すくい面上の垂直応力σ_xの分布は, 切取り厚さの漸増する場合, 切りくず分離点より工具刃先に向かってほぼ直線的に増加しているが, 切取り厚さの減少する場合には刃先先端近傍で急増している.一方, せん断応力τ_xyの分布は常にほとんど相似で, 切りくず分離点より切りくず接触長さのほぼ中央部まで直線的に増加し, その後, 刃先先端まで一定値を保っている.また, 切削油剤として菜種油を使用すると, σ_x, τ_xyの分布は常にほとんど相似となる.さらに, τ_xyの定常値もかなり小さくなる.次に, すくい面に平行な応力σ_yは切りくず接触面上では常に圧縮応力として作用し, すくい面の自由表面上では引張応力となる.さらに, 乾切削時の切りくず接触長さは上向き, 下向き削りともに, 切削の進行とともに次第に増加しているが, 菜種油を用いると, 各位置の切取り厚さのみによってほぼ定まる値となっている.
公益社団法人精密工学会の論文
1981-06-05