韓国ソウル郊外の花崗岩と片麻岩山地における土層構造と表層崩壊形状に与える基盤岩質の影響(<特集>地形プロセスにおけるロックコントロール)

概要

論文の詳細を見る
韓国ソウル郊外の花崗岩と片麻岩を基盤岩とする山地の崩壊地において,岩石の風化による土層形成とそれが斜面崩壊形状(特に崩壊土層深と斜面勾配)に与える影響を検討した.花崗岩斜面の崩壊深と斜面勾配は70〜90cm,約35〜40°であり,片麻岩斜面のそれらは1.4〜1.9m,約27〜33°であった.土層を簡易貫入試験値によりN<5をUpper layer,5≦Nc<10をMiddle layer,10≦Nc<30をLower layer,30≦NcをBedrockと区分した場合,表層崩壊発生時の崩壊面はMiddle layerとなることが推定された.また崩壊面(せん断面)の粘着力cと内部摩擦角φは,花崗岩斜面でc=41.8gf/cm^2.φ=33.6°,片麻岩斜面でc=73.8gf/cm^2,φ=26.2°であった.基盤岩石の鉱物粒径の差異を反映して,斜面物質の50%粒径は花崗岩斜面で1.62mm,片麻岩斜面で0.09mmと花崗岩斜面の方が大きかった.このことが,花崗岩斜面物質が相対的にcが小さくφが大きくなる原因と考えられる.実測した物性値を用いた斜面安定解析の結果から,上記のような斜面物質の物性値の差異により,花崗岩斜面の方が斜面勾配が比較的急勾配で崩壊深が浅くなることが説明された.
2002-03-25