ヌードマウスにおけるMHV-II型肝炎ウィルスの感染実験 : 慢性肝炎より肝硬変に至る病像の作成
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概要
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週令4-5wの雌性ヌードマウス(nu/nu)にMHV-II型肝炎ウイルス(0.1ml.i.p.ウイルス力価:10^-5)の感染実験を行い接種後3カ月間観察した. 成熟Tリンパ球を欠き細胞性免疫の不全状態にあると考えられるヌードマウスにおいてはウイルス(MHV-II)は排除されることなく観察期間中血液内に存在し血清抗体(抗MHV-II抗体)の出現もみられなかった. 肝は形態学的に接種後2週頃に肝細胞障害は最高となるが以後改善に向う. 一方, 門脈域の小円形細胞浸潤や線維化は5週頃より次第に強くなり, これに平行して肝表面の性状は次第に凹凸を増し結節状となる. さらに接種後8-10wには肉眼的にも組織学的にも肝硬変の病像を呈する. 上述のヌードマウスの感染実験においてMHVV一II型肝炎に感染した同腹マウス(nu/+)と未感染の同腹マウスの胸腺細胞をあらかじめウイルス接種前に移植しその影響を観察したところ, 感染マウスの胸腺移植では肝炎の病像・経過の改善がみられたのに反し, 未感染マウスの移植では逆に悪化傾向がみられた. なお免疫抑制剤としてのCyclophosphamide O.1mg, 1×/wの投与は肝炎の炎症像は改善するが, 病変の遷延化を招く傾向がある。以上, 本研究はMHV-11型肝炎ウイルスを用いたヌードマウスの感染実験で, 動物モデルで慢性肝炎より肝硬変を作成せしめた最初の報告である.
- 産業医科大学学会の論文
- 1980-06-01
著者
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