家庭科と公民科の関連性の検討 : 「家族・福祉」「経済・消費」領域を中心に
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概要
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家庭科と公民科の関連性を明らかにし,連携の方策を検討するため,家庭科および公民科教員の意見,教科教育学研究者の教育目標論,教科書キーワード,学習指導要領記述等の比較を行った。結果の概要は,次のとおりである。(1)教育目標については,(1)公民科教員の意見では,家庭科で目指している能力目標13項目のうち,公民科でも育成したい能力として,50%以上の者が,5項目をあげており,関連性が高い教科ととらえられている。(2)両教科の教育学研究者の資質目標には共通性がみられる。(3)学習指導要領で示されている資質目標は明確に異なる。(2)学習内容については,(1)両教科担当教員の意見はほぼ同傾向を示し,家族領域は家庭科で,経済領域は公民科で,福祉領域,消費領域は両教科でとされている。(2)教科書のキーワード出現頻度の比較では,家族領域のキーワードは,「家庭一般」での出現頻度のほうが高く,家庭科独自の領域といえる。福祉領域,消費領域のキーワードは,両科目間の出現頻度差が低く,重複部分が多い領域といえる。(3)学習指導要領では,かなり重複する部分がある。(3)学習方法については,(1)教科担当教員の意見では,家庭科教員のほうが体験的学習導入への意欲が高い。(2)学習指導要領では,両教科とも,体験的,学習を重視しているが,家庭科では,実験・実習を通した学習を,公民科では,資料を通した学習を重視するという点で異なっている。以上の結果から,家庭科と公民科目標,内容,方法の関連性が明らかとなり,今後の連携のあり方についての示唆をえることができた。稿を終えるにあたり,本調査にご協力くださった方々に厚くお礼申しあげます。なお,本研究は,1997年7月6日,日本家庭科教育学会第40回大会において発表したものを発展させ,加筆したものである。
- 日本家庭科教育学会の論文
- 2002-04-01
著者
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