ワモンゴキブリにおけるNS2662(O, O-dimethyl 2,2-dichloro 1-hydroxyethyl phosphonate)の代謝ならびにコリンエステラーゼ阻害
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概要
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NS 2662のワモンゴキブリに対する作用機構を調べた。1) ワモンゴキブリに32P-NS 2662および32P-DEPを局所処理し薬剤の昆虫体内分布を調べたところ,脂肪組織以外では,まひ状態の昆虫において,正常状態の昆虫組織よりも多量の薬量が各組織に存在した。神経組織に集積していた薬量は少量であったが,まひ状態の昆虫では正常状態のものより多量に存在していた。腹部神経索には,NS 2662は10-5M, DEPは10-6M程度存在していた。2) In vivoでのワモンゴキブリによる代謝を調べたところ,局所処理した32P-NS 2662および32P-DEPともに急速に分解し,未分解物は1時間後,24時間後には,NS 2662ではそれぞれ約50%, 20%であり,DEPでは約60%, 15%であった。両薬剤の脱塩酸物質はごく少量検出された。3) ワモンゴキブリ腹部神経索ChEに対し,in vitroにおいてNS 2662, DEPおよびこれらの脱塩酸物質はともにかなり強いChE阻害度を示した。局所処理し,中毒症状の異なるワモンゴキブリのChE阻害度を調べたところ,仰転・けいれん状態のものでは約80%,まひ状態のものでは約90%阻害されていた。50%阻害されるまでは中毒症状は発現しなかった。4) NS 2662も他の有機リン殺虫剤と同じく,ワモンゴキブリに対してはChE阻害により殺虫力を示すと考えられ,NS 2662を塗布処理したin vivoでのChE阻害作用にはNS 2662とその脱塩酸物質のDMVP両者が関与していると思われる。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1968-12-30
著者
-
宮田 正
名古屋大学大学院生命農学研究科
-
斎藤 哲夫
名古屋大学
-
森川 修
名古屋大学農学部害虫学教室:(現)東洋高圧工業株式会社農村研究所
-
弥富 喜三
名城大農
-
宮田 正
名古屋大学
-
弥富 喜三
名古屋大学:名城大学
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