日本での青年期から老年期に至るタイプA行動とその関連要因
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概要
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本研究の目的はタイプA行動パターンの青年期から中年期, 老年期という成人期の全スパンにわたる横断的年齢比較により, 年齢・性別との関係を明らかにすることである.また, タイプAと適応などの関連要因との関係についても検討することである.13〜92歳の都市住民からのランダム・サンプルのうち, タイプA行動のデータの得られた1,533名を対象に分析を行った.タイプA行動パターンは30代がピークで, 40代はプラトーとなり, それ以降は年齢が上がるにつれてタイプA行動が減少するといわれていた.しかし, 本研究では, これまでの中年者のみを対象とした研究と異なり, 10代という若い年代を含めたことにより, タイプA行動パターンのピークがさらに若い発達的時期にあることが示された点が注目される.また, 従来から, 女性でのタイプA行動の研究は少ないとはいえ, タイプA行動パターンは女性よりも男性において顕著であることが一貫して示されてきた.しかし, 本研究ではタイプAにおける性差が認められず, また, タイプA行動パターンの年齢差にも性差がないことが示された.タイプA行動パターンと適応変数との関係を重回帰分析から検討した結果, ハッスルがタイプA行動に最も大きく影響することが示された.ハッスルは, 日常生活の中でわずらわしく思われる事柄に対するわずらわしさの程度の評定の総和であるので, 日常生活でのストレスの強さを示している.本研究から, ハッスル, 年齢とともに自尊感情も寄与は大きくないが, タイプA行動と関係することが示された.タイプA行動パターンは, 自尊感情と関係することが知られている.PriceはタイプA者が「いつも自分を確かめなければならない」という不合理な確信を抱くことを指摘しており, タイプA行動パターンの中核は自尊感情を脅かされているという基本的感情であろうことが推測される.
- 日本心身医学会の論文
- 1998-10-01
著者
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