内科領域における心身症, 神経症, 抑うつ病に対するDoxepin hydrochlorideとDiazepamの二重盲検法による薬効比較

概要

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(1)東邦大学医学部心療内科外来を受診せる主に新鮮例の心身症28例, 神経症22例, 抑うつ症22例に対し, 一対比較法によるdoxepinとdiazepamの二重盲検比較試験を試み薬効を比較した。用量はdoxepin 10mg/cap.をdiazepam 2mg/cap.のequivalent doseとし, 1日2〜4カプセル, 3週間以上の投与とした。なお, 症状評価はHamilton不安症状評価尺度に準じて作成した評価表で行ない, 有効性と安全性を評価した。投薬完了症例は心身症21例, 神経症19例, 抑うつ症20例であった。(2)pairとして成立したものは25pairで, 優劣比較判定の結果をArmitage's restricted designにより解析したところ, 両薬間に有意差が認められなかった。また投薬完了例におけるdoxepin群32例, diazepam群28例の有効率比較でも両薬間に有意差はなかった。(3)症状別改善率の比較では緊張・焦燥にdiazepamが有意に優れたが, 他の症状群では両薬間に有意差を認めなかった。(4)病態像別に両薬の全般的改善度を比較すると統計的有意差はみとめられず, また, 精神症状別の改善率比較で抑うつ症の緊張・焦燥にdiazepamが有意に優れた以外, 各症状に対する効果は両薬間に有意差を認めなかった。(5)脱落例はdoxepin群4例, diazepam群8例でdoxepin群の2例は睡気による投薬中止のため, 残り2例は追跡の結果, 1例は軽快し, 1例は不明であった。diazepam群は軽快1例, 転科1例, 服薬拒否1例と追跡の結果より判明した軽快1例, 不変1例と3例が不明であった。(6)副作用はdoxepin群にやや睡気の強い傾向がみられたが, 有意のものでなく, 副作用発現例数, 発現頻度, 症状別の悪化, 脱落理由, 臨床検査などいずれも両薬間で問題とすべきものはなく, 両薬ともほぼ同等の安全性を示した。本論文の要旨は1971年メキシコにおいてFirst Congress of the International College of Psychosomatic Medicineで発表した。
日本心身医学会の論文
1972-08-01

内科領域における心身症, 神経症, 抑うつ病に対するDoxepin hydrochlorideとDiazepamの二重盲検法による薬効比較

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